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　口で言うのは簡単ですが、実行することはもの凄く難しいことです。さてどれだけの会社が社員さんを大切にしているのでしょうか。私共も含めてほとんどの会社が『大切にはしているけどね…』しかし一番大切ではないよね。売上も大切だし、お客様も大切だし、取引先も大切だからね…。ではないでしょうか。　しかし奥様や子供達を大切にする、ということは一番大切にするということ。どんなことより最優先で奥様の健康や子供の事故や学校や将来のことを心配するはずです。当然、家族と会社は一緒にはなりませんし家族より社員さんを大切にするとは考えませんが、会社の中での大切なことはたくさんあるのですが、やはり一番大切なものは、お客様でも売上でも利益でもなく『社員さん』ではないでしょうか。　私は47年前に24歳で一人で独立して仕事を始めましたが、10年間くらいは社員ゼロで仕事をしました(奥さんと母親が仕事を助けてくれましたが)。それが今は1,500人(パート含む)の社員さんになってしまって、社員さんを大切にすると言っても1,500人分の重さになってしまって、果たして本当に実行できるのか、実現できるのかが分からなくなってしまっています。　そんな私も37年前に初めて採用した一人の社員さんのことが忘れられません。もう遅刻ばっかりしていて、あと3回遅刻したら辞めてもらうからねと言った10日後には3回遅刻で退社してしまいました。その後はどうでしょう、150人くらいの社員数までは私が全て面接して採用をしていました。そして300人くらいまでは会社説明会を私一人で開催していましたが、もうそれ以上になると総務担当に任せて、私は採用・不採用の判断だけしかできなくなりました。今ではそれもできなくなってしまって、面接も説明会も採用も社長や役員任せとなっています。　なかなか淋しいものです。以前だと私は求人採用が最大の社員教育だと言って、凄いやる気で燃えていたのですが、今では社員一人一人の顔と名前が一致しないどころか、この人は社員さんなのか外部の来訪者なのかも分からなくなってしまいました。そんな私が『社員を大切にする』なんて言ってもいいのかどうかも怪しいものです。　しかし言い訳のようですが、私は一人一人の社員さんを大切にしてきました。一人一人を大切に面接して、一人一人の能力や才能ややる気を見て大切に採用しました。そして他の会社には負けないほどのお金と時間をかけて社員さんを教育しました。私は47年間社員さんの大切さを一度も忘れたことはありません。　私が10年くらい離れていた会社で、社員さんのパワハラや残業違反があった時は、500項目の改善を実行して、ホワイト企業に再生させました。私にとって大切な社員さんをいい加減な中途半端な気持ちと責任感で命令して使う会社は許せないのです。やはり一人一人を大切にして、個人としてはいくら年齢が若くても尊敬すべきです。私の仕事のやり方は社員さんには相当に厳しい要求をして、無責任な社員さんには大声で叱ります。仕事の責任は厳しく追及しますが、感情的にその人を嫌いになることは全くありません。一人一人は大切な社員さんなのです。　ドラッカー先生の言葉の中に『仕事で人を育てる』とありますが、厳しい仕事の責任の苦しさで人は育つのです。しかしさて1,500人の社員さんになってしまって、これからはどうやって社員さんを、口先だけではなく本当に大切にしていけばいいのでしょうか。今、分かっていることは(1)売上よりも(2)利益よりも(3)顧客よりも(4)取引先様よりも社員さんを大切にするということです。会社の中では『社員さんが一番大切』だと決めて実行することです。まあそうすれば少しは社員さんが『いい会社だね』と言ってくれるかもしれません。そうなることを願います。