私は『ランチェスター戦略』を40年間勉強したので、今までの経営の全ての決定はこの『戦略の法則』通りに実行しました。お陰様で商売で負けることなく46年の間ずっと会社を成長させることができました。一人で創業して一年目の年間売り上げは800万円、今年の売上は280億円ですから46年間で3,500倍です。年間複利計算で毎年16%ずつ売上げを伸ばすことができました。これは『戦略』を学んで実行したからだと思います。 ランチェスター先生は自動車の研究開発者でしたから、今もトヨタの本社ビルに『ランチェスター号』という古い車が展示されています。そして第一次世界大戦での戦死者数や、飛行機の空中戦での勝敗の膨大な統計をまとめて『戦いの法則』をつくりました。第二次世界大戦ではアメリカ軍はこの法則を使って日本を攻撃したので、日本は戦争に敗れてしまいました。気力体力では日本兵は負けないのですが、物量や兵器や戦闘員の数をランチェスター戦略で計算して攻撃されると必ず負けてしまいます。経営や商売でも同じです。この法則を知っているのか知っていないのかで勝負が決まります。恐ろしい戦略なのです。 簡単に説明しますと(1)『第一法則』は一騎討ちの法則。単純にA軍5人とB軍3人が戦えばA軍が2人生き残りB軍は全滅です。まあ戦国時代の武士の戦い方です。(2)『第二法則』は近代兵器の二乗の法則です。A軍5機B軍3機の空中戦の結果は5の二乗は25。3の二乗は9。25マイナス9は16でこれは4の二乗です(√16=4)。A軍が4機残ってB軍は全滅です。今のウクライナもロシアも同じです。兵器の量と兵器を持つ兵隊の数の二乗の法則で戦争しています。 (3)『弱者の戦略』。これは第一法則の応用です。私は人の3倍は働きましたがそれでも20人の社員さんのいる会社には負けてしまいます。だからそういう会社との競争は避けていました。第一法則で負けるからです。負ければ会社は倒産してしまいます。(4)『強者の戦略』。これは第二法則を使います。競争会社より多くの設備投資をして社員数を増やして商売をすると、だいたい上手くいきます。しかし負けている営業所は『弱者の戦略』に変更すると勝てます。そしてまた力をつけて強者の戦略に変更すればいいのです。 これでずっとやってきましたが今は『ドラッカー戦略』に変更をしています。もうそろそろ戦争の時代が終わりそうです。1,000年に一度の大変革が始まろうとしている時代に、いつまでも戦争で勝つ戦略を続ける訳にはいきません。世界はSDGsで持続可能な経済発展をしなければなりませんし、戦争のない共生共存の地球をつくらないと、発展どころか世界は滅亡してしまいますね。 ですから私も今までのランチェスター戦略を捨てて、ドラッカー先生の『人の成長』や『人の幸せ』を目標にして社員さんとお客様に喜んでもらう戦略に変更します。そして社会の問題を一つ一つ解決して社会貢献できる会社になる戦略に切り替えています。それが『ドラッカー戦略』なのです。しかし凄く難しいんですね。ランチェスター先生のように数字で割り切れるものは何もありません。使命は何か、顧客は誰か、顧客にとっての価値は何か…。これを100回考えて戦略をつくります。 そして近代兵器を捨てて、私達の本当の武器は会社の中の知識と人材になります。そして日本一の卓越性と日本一のリーダー的存在になることです。難しいのは当然ですね。しかし全力で『ドラッカー戦略』を実行したいと思います。
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