今年度の税制改正を受けて、信託銀行がこぞって4月から販売を開始した孫への贈与信託商品。販売以降、申し込みが殺到し、各行は嬉しい悲鳴を上げている。

平成25年度税制改正では、祖父母が教育資金を孫・ひ孫に贈与する場合、一人当たり最大1500万円まで贈与税が非課税になる。4月からの適用に合わせて、各信託銀行で新商品の販売をスタートした。「ホームページでの資料請求は2000件を超えました。パンフレットの数が追い付きません」。こう話すのは三井住友信託銀行(東京都千代田区)リテール企画部の小野武博氏だ。同行は4月1日、愛称を『孫への想い』とした教育資金贈与信託商品を発売開始。4月12日時点で契約件数は200件を超えた。毎日400件以上の問い合わせがある。想定外だったのは、贈与される側である受益者の母親からの問い合わせが多いということだ。「通常言い出しにくい、相続に関する贈与について話題にしやすい商品であるということが大きいのでしょう」(小野氏)。同行では期間限定のキャンペーンを実施。遺言信託基本手数料の割引などの特典を設け、相続計画を見直す機会として顧客に考えてもらうという。

りそな銀行(東京都江東区)は「きょういく信託」という商品名で販売。開始から1週間で80件成約。信託ビジネス部の大沼隆彦氏は「教育出費の支払いの際に全国300店舗以上の窓口を利用できるのが強み」と話す。銀行業務と信託銀行業務を併業し、他行に比べ圧倒的に取り扱い店舗が多い。現在系列銀行での取り扱いも考えており、それが実現すれば全国600店で利用可能になる。支払い方法は、前述の2行では、教育関連出費の領収書を信託銀行窓口に提出後、口座から支払う。

一方、三菱UFJ信託銀行(東京都千代田区)では領収書がなくても請求書を提出することで、希望の金額支払いを受ける方法も用意し、差別化を図る。リテール企画推進部の曽根知広氏は「受益者側が先に出費を立て替えしなくてもよい、使いやすい商品設定をしました」と語る。同行での契約件数は100件以上(4月12日時点)。

ランドマーク税理士法人(神奈川県横浜市)が講演する相続関連のセミナーでは毎回のように孫への贈与信託についての質問が出てくるという。清田幸弘代表は「セミナー参加者からも関心の高さがうかがえます。贈与信託についてどのような手続きを踏めばいいのかといった質問もあり、現実的に検討している様子です」。

同社のクライアントには地主が多いが、相続を見据え、贈与信託を検討しているケースもあるようだ。





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