穂の国ってご存知ですか?
愛知県東部の5市2町1村で構成する地域。

ここに、穂の国森林探偵事務所という、
森林経営のための情報整備などを手伝う団体があるそうです。

相続した山の位置がわからないというのはよく聞く話ですよね。
ここは、GPSで境界を測ってネット地図と重ねるサービスなどをご提供です。

以前も触れましたが、都会に住んでいて森林を所有する人のうち
18%は相続手続きをしておらず、
51%が放置していても問題ないと考えていた・・・_| ̄|○

得られた情報を地域で共有できれば、
森林の荒廃に歯止めをかける一歩になりますね。


【相続しても境界分からず 林業衰退で関心薄れる森林】

 所有者や境界が分からない森林が増え、効率的に間伐できなかったり、防災計画の見直しが必要になったりする問題が生じている。林業の衰退に伴い、山への関心が薄れたことが背景にある。国も啓発を始め、山主が顔を合わせて境界画定を始めた自治体もある。

 今月初め、愛知県新城市の鈴木一三六(いさむ)さん(65)は、父から相続した市内の山の所在地の調査報告をNPO法人から受けていた。「一回父に連れられて行ったことはあるが、どこかよく分からない」。両親は十五カ所ほどの山を所有し、姉のスミ子さん(69)は「登記上、私のひいおばあさんの名前のままの山もある。ひ孫の代になると連絡が途絶えている親戚もあるから」とため息をつく。

 調査したNPO法人「穂の国森林探偵事務所」は、鈴木さんの父が残した手描きの地図や写真を手掛かりに森林を歩き、衛星利用測位システム(GPS)を使って緯度・経度で境界の仮くいの位置を記録し、地理情報システム(GIS)で地図と重ねて見せた。手描きの地図と公図の形は違う部分があり、生えている木の年代の違いを手掛かりにした。

 理事長の高橋啓さん(46)は以前森林組合に勤め、七十代以上の山主から「後継世代は関心がないが、山は家の財産なので位置だけははっきりさせたい」という相談を多く受け、主に境界を調査するNPO法人を一年半前に立ち上げた。緯度・経度で境界くいの位置を記憶すれば、恒久的に誰でも境界が分かる。

 鈴木さんの払った調査費用は一ヘクタールで八万円くらい。NPO法人は今まで山主七十人ほどの境界画定を行った。高橋さんは「相続しても登記の手続きをしていない森林も多く、隣の山主たちを探すのは大変。得られた情報を地域で共有できるシステムが必要だと思う」と話す。

    ◇

 国土交通省は一昨年、全国の大都市で、居住地以外に森林を所有する人を対象に調査し、三百十六人から回答を得た。うち78%は森林を放置。18%は相続時に何の手続きもしていなかった。「所在の把握が難しい森林の所有者は約十六万人に上るとみられる」とする。

 森林法が改正され、相続や売買などで森林の土地を新たに取得した場合は市町村に届け出ることが義務づけられたが、改正後で施行前に行われたこの調査では、九割近い人が知らなかった。国交省と農林水産省はパンフレットや解説書を作り、相続時の届け出や登記、土地活用の意思表示をするよう啓発している。なお、法務省によると、相続や売買などによる登記は任意だ。

 解説書には豪雨で山の斜面が崩れ、所有者が分からずに工事の着手が遅れた例が紹介されている。復興庁によると、東日本大震災の被災地での高台への防災集団移転の計画で、相続で登記移転されていない山があり、事業計画の見直しをしなければいけない例もあった。

 東京大生態水文学研究所(愛知県瀬戸市)の蔵治(くらじ)光一郎准教授(47)は「所有者が分からない山林は管理しづらい。土砂崩れ、不法投棄、野生生物問題などが生じたときもどうしようもない」と指摘する。「木材生産を主に行う森林組合とは別に、所有者が手放したい森林を引き取って健全に管理する準公的組織が必要では」

 愛知県豊田市は二〇〇七年から山主と市、森林組合が集まり境界を決め管理方法を話し合う「森づくり会議」の設置を始めた。「手入れされない森林では、境界の目印のアセビが枯れ、林の様子も変わっている。境界が分かる現地の人もいなくなっていく。今やらなければ子孫の代には全く分からなくなる」と加藤鎌一森林課長(55)は危機感を抱く。同会議は山間部では順調に設置できたが、都市部に近い森林にはできていないところが多い。「町に近い山林は森林への関心が薄く、中心になって動く人がいない」。蔵治准教授は「都市に近い山林の方が、不法投棄などのリスクは高い」と警戒する。
(7月29日 中日新聞)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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