昨日、SG阪神いきかた研究会を開催しました。
テーマは、認知症時代への備えと私たちの市民後見活動
講師は、NPO法人障がい者・高齢者市民後見STEPの竹村哲也さん。
ご本人の日常生活に寄り添う「市民後見活動」7年間の
実例を交えてお聞かせいただきました。
2022年、認知症高齢者は443万。
2030年には523万人(高齢者の7人に1人)と推計されています。
特におひとりさまは、ご自身で契約行為ができなくなった後への
備えが重要です。
できなくなった後の対応として、成年後見制度があります。
この制度の利用を申し立てる動機は、
1位:預貯金等の管理・解約・・・32.9%
2位:身上監護・・・24.4%
3位:介護保険契約・・・13.6%
4位:不動産の処分・・・11.6%
5位:相続手続き・・・8.3%
と続きます。
たとえば、親や配偶者が認知症になったため、
「銀行の預金がおろせない」
「不動産を動かせない」
「介護サービスの契約ができない」・・・
または、子どもが知的障害で、
「親なき後、お金の管理ができない」
「遺産分割協議に参加できない」
「悪質商法にあっても対抗できない」・・・
これらのほとんどが、銀行・不動産業者・施設など、
取引の相手方から後見の利用を迫られるという構図ですね。
やっかいなのは、後見人は家庭裁判所が選ぶということと、
一度後見人が選任されると本人が死ぬまで続くということ。
一応、後見人候補に親族が名乗りを上げることは可能ですが、
おおむね1000万円以上の財産があると厳しいようです。
だから、ダメになってから裁判所に選んでもらうより、
お元気なうちに自分で選ぶ「任意後見」を視野に入れる方がいいワケ。
さらに、日常の預貯金の出し入れや入院手続きの代行のための
「(包括的な)委任契約」と、
死後の葬儀や遺品整理、役所等への各種届出を行う
「死後事務委任契約」との3点セットがいいですね。
後見制度も、財産管理偏重から身上監護重視にシフトしつつあり、
親族後見や市民後見の役割が大きくなっていくと思われます。
将来への備えとして、任意後見を知ってみてはいかがですか?
土地家屋調査士 大阪 和田清人