土地の所有者がつかまらないという記事。

私たち土地家屋調査士にとっても、筆界確認の前提として、
隣接地所有者探しは絶対に避けて通れない道です。

国土交通省が4市町村で行ったサンプル調査では、
最後の登記から50年以上たった土地が11~30%もあったんだとか。

いやいや、想像するのも怖すぎる・・・(^^;

記事には、精華町の事例や日司連の取り組みなどが紹介されていますが、
相続登記の懈怠に罰則がない以上は限界がありますよね。

先送りにしても、何もいいことはありませんよ。
むしろ、お子様、お孫様が困るだけ。

相続登記はきちんと済ませておきましょうね。


【持ち主不明地 増加に歯止めかけよう】

 所有者が分からない土地が増えている。耕作放棄された農地などでかつて顕在化したが、現在では住宅地でも見られ、全国的な問題となりつつある。

 所有者を探るのに時間がかかり、行政が道路建設など公共工事を計画しても、利用承諾や買収が進まない原因になっている。

 土地を所有者が適切に管理しなければ新たな利用の妨げになり、社会の活力をそぐことになりかねない。社会全体で問題を共有し、解決策を探るべきだろう。

 土地の所有者不明問題は、1990年代になって表れ始めた。間伐されず荒れ果てた山林や、農地集約の妨げになっている耕作放棄地があちこちで見られるようになった。

 問題の深刻さを突きつけたのは東日本大震災だ。

 福島第1原発事故が発生し、中間貯蔵施設の建設が福島県内で進む。計画地の登記簿上の土地所有者は2360人に及ぶが、1月末現在でも4分の1以上の人の連絡先が把握できておらず、建設の妨げになっている。津波被害を受けた被災地の高台移転でも、用地取得に当たって土地所有者が特定できず、権利調整に自治体が四苦八苦した。

 所有者不明の土地の存在が、地域防災や震災復興の壁になっている現実を直視すべきだろう。

 土地所有者の把握が難しい最大の要因は、法律通りに相続の登記がなされていないことだ。国土交通省が4市町村で行ったサンプル調査では、最後の登記から50年以上たった土地が、11~30%に上った。

 資産価値の乏しい土地が所有者の死亡に伴って放置されている現状が数字からは読みとれる。

 相続登記の促進がやはり欠かせない。京都府精華町は、死亡届が提出された際、登記や社会保障などの手続きを併せて案内することで登記の届け出数が増加したという。

 日本司法書士会連合会は、制度の手直しを提言している。転出によって住民登録が抹消された住民票の除票の保存期間を現在の5年からもっと長くすることで、所有者を捜しやすくなるという。

 問題の根っこには、人口減少と都市への集中がある。この結果、代替わりのたびに所有者不明の土地が増えていく。

 空き家については、一昨年、空き家対策特別措置法が施行され、倒壊の恐れのある空き家を市町村が強制撤去できるようになった。ハードルは高いが、土地についても行政の裁量で柔軟に利用できる仕組みを検討する余地はないか。

 人口減少はさらに進む。登記手続きの簡素化を含め、実効性のある対策についてさらに議論を深めたい。
(2月27日 毎日新聞)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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