昨日、相続トータルコンサルタント勉強会を開催しました。
テーマは、民法改正。
その概要と影響・注意点を、川村司法書士と内田税理士に解説いただきました。
ご承知の通り、相続に関する改正案の目玉のひとつは、配偶者の相続分。
婚姻後20年(もしくは30年)を経過すると、法定相続分が増えるという案ですね。
言われているのは、
第1順位:現行1/2→改正案2/3
第2順位:現行2/3→改正案3/4
第3順位:現行3/4→改正案4/5
長年の夫婦生活の中で、家族の生活費、子どもの養育費、住宅の確保、老後の蓄え等々、
あらゆる場面で2人が協力しながら家計をやり繰りした結果の財産。
超高齢化社会にふさわしい形として、配偶者の相続分を増やすべきという考えですね。
いや、いいんですよ。
そこに異論を挟むつもりはありません。
ただ、相続においてもう一つ忘れてはならないのが・・・
二次相続。
ご主人が亡くなった時には、配偶者の税額軽減によって相続税の心配は要りません。
(
法定相続分または1.6億円まで非課税)
で、↑の割合が増えるから、奥様が亡くなった時にドカンと来るわけです。
事例として挙げられていたのが、ひとりっ子の二次相続。
ご主人の財産1億円、奥様の財産4000万円のシミュレーション。
・現行の法定相続で相続する場合(奥様5000万円、子5000万円)
一次相続:奥様の相続税0円、子の相続税385万円。
二次相続:相続財産9000万円で、相続税920万円。
一次・二次の合計1305万円。
・改正後の法定相続分で相続する場合(奥様7000万円、子3000万円)
一次相続:奥様の相続税0円、子の相続税231万円。
二次相続:相続財産1.1億円で、相続税1520万円。
一次・二次の合計1751万円と激増しちゃうんです。
この事例においては、最もおトクな分割は何と!奥様が相続しないこと。
・奥様が相続しない場合(奥様0円、子1億円)
一次相続:奥様の相続税0円、子の相続税770万円。
二次相続:相続財産4000万円で、相続税40万円。
一次・二次の合計810万円とめっちゃおトク・・・(^^;
一次相続で770万円の課税は受け入れてもらいにくいかもしれませんが、
トータルの数字を見せることが大切。
※具体的な案件は、必ず税理士に試算してもらってください。
専門家としては、配偶者の相続分が増えるのはいいことばかりじゃないと、
頭の片隅に入れておいてくださいね。
土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)