別府市で、空き家対策法に基づいた解体が行われました。

市の担当者の、「やっとか…」という言葉が重いですね。
ご苦労お察しします。

実は私も、某地方都市の空き家処分の相談をいただいておりまして・・・
これが絵に描いたような三重苦なんですよね。(^^;

・地方集落につき、そもそも買い手がつかない。
・建物は曾祖父名義。子(相談者から見て祖母のきょうだい)だけで6名も。
・更地にするにも、道路が狭くトラックが入れないため、解体見積りが250万円!

ホント、身動き取れないって状況。
今の空き家問題は、どこまで「損切り」に耐えられるかの勝負ですよね。


【空き家強制解体、もろ刃の剣 肩代わり 公費にツケ 別府市ルポ】

 所有者不明の空き家の増加が社会問題化する中、大分県別府市が今月、行政代執行による空き家解体に踏み切った。長年にわたる近隣からの苦情にも手を打てずにいたが、市町村が危険な空き家を「特定空き家」に指定し、撤去しやすくした空き家対策特別措置法が昨年全面施行され動きが加速。人口減が進み、空き家対策に頭を抱える市町村にとって、代執行で緊急避難的に危険を除去できる半面、費用負担や空き家管理が行政任せとなることを危ぶむ声もある。

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 「やっとか…」。別府市建築指導課の主査は8日、解体が始まった2階建て店舗付き共同住宅「永石アパート」(同市南町)を見ながらほっと一息ついた。同課配属は10年前。当時から既に問題物件だった建物だ。
 延べ床面積833平方メートルのアパートは1947年ごろに建てられ、中国大陸からの引き揚げ者らが身を寄せていた。居住者の減少と老朽化が進み、周辺住民から倒壊を恐れる声が上がり始めたころには、所有者不明となっていた。2002年、周辺住民から対策を求める陳情を受け、市は本格調査に乗り出した。
 登記簿の所有者は「別府海外引揚同胞自治組合」。手掛かりはそれだけで、関係者の存否はおろか、名前すら分からない。近隣住民に尋ねたり、かつての賃借人を捜したりしているうち、5年ほど前にアパートは完全に無人となった。2年前、土地所有者の相続人は判明したが、建物についてはお手上げ状態が続いた。
 局面を変えたのが、昨年5月の特措法全面施行だ。所有者特定のために固定資産税の納税情報を活用できるようになり、納税実績が確認できないことが判明。行政書士にも権利関係を調べてもらった上で「これ以上捜しても所有者も相続人も見つからない」との判断を固めた。同6月に「特定空き家」に指定。事前公告を経た同11月、行政代執行の一種で、所有者らが特定できない場合に行う略式代執行での解体を決めた。全国でも3例目。市は「特措法で手続きがスムーズに進んだ」と評価する。
 ただ、今後も同様に危険な空き家の撤去がスムーズに進むかは見通せない。同アパートと同時に特定空き家に指定した4軒は所有者が分かっているが、勧告の末に所有者負担で撤去に至った1軒以外は、度重なる要請にも返事がなかったり、所有者が所在不明だったりして解決の糸口は見えない。市内の老朽空き家はほかにも300軒近く。代執行という強硬手段が、かえって「行政に任せればいい」というモラルハザード(倫理観の欠如)を生むことを市は懸念する。
 特に略式代執行は、本来所有者が負う費用を行政がかぶる恐れが強い。今回の解体費用約510万円は、土地所有者の相続人に負担を打診し協議を進めているという。市の建設部は「どんな形でも公費回収に努める」としている。
    ◇      ◇
 ■九州の空き家 5年で8万8000戸増
 人口減少を背景に、都市部、農村部を問わず、空き家が増え続けている。総務省の住宅・土地統計調査によると、利用目的がない一戸建ての空き家は九州7県で約36万戸(2013年10月時点)。5年間で8万8千戸ほど増加し、全国平均を上回るペースだ。腐ったり破損したりしている部分がある空き家も約13万7千戸に上る。
 長崎県佐世保市では昨年5月、住宅地で木造2階建ての空き家が崩れ、道路にがれきが散乱した。市建築指導課によると、近隣住民から不安の声が寄せられ、数カ月前から所有者と撤去に向けて調整中だったという。空き家対策特措法施行後、市民の関心も高まっており、市に寄せられた危険な空き家への苦情や相談は13、14年度の各60件前後から、15年度は11月末時点で111件と倍増ペースだ。
 空き家問題の解決には所有者との協議が欠かせないが、所有者にたどり着くのは容易ではない。北九州市は昨夏、自治会などを通じて危険な空き家を調査。危険度が高いと判定した651軒の所有者に改善を求める文書を送っているが、一部は「宛先不明」などで返ってくるという。
 ただ、同市は所有者不明のままの略式代執行による解体には慎重だ。市空き家対策推進室は「略式代執行になれば費用は基本的に市が肩代わりすることになる。まずは空き家の所有者捜しに力を入れたい。代執行は最後の手段だ」としている。
(2月22日 西日本新聞朝刊)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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