何かと話題の「家政婦vs実の娘」。(^^;
これに関連して、遺言の注意点を解説したコラム。

ズバリ、「本人の意思」。

亡くなる直前に作られたものや、何度も書き換えられたものは、
本当に「本人の意思」だったのかどうかが疑われてしまうってこと。

ここが法廷での争点になると、立証するのが大変ですよね。

そこで、遺言の意図を書き記すことが大切ってワケ。
なぜこんな内容にしたのか、日記やメモに理由や気持ちを残しておくべきですね。

モメる可能性がある場合は、
数多くの修羅場を経験した専門家に相談するようにしてくださいね。


【血縁ない人に遺産残す場合 遺言の意図示すことが重要】

 先月、東京地裁で遺産3000万円を実の娘ではなく、家政婦に残すことを認める判決が下された。裁判を起こしたのは家政婦。映画界では有名だった吉岡重三郎氏のもとで働き、その死後は娘の初子さんとその夫に仕えた。

 体が不自由になった初子さんを最後まで面倒を見ていたのは家政婦だった。死後娘たちが、財産分与を進めていたが、遺言で家政婦に遺産を残す旨記したものが見つかったのだ。

 赤の他人にそれだけの遺産を渡すということで話題になったこの事件、そもそも遺産を取り巻く現状とはどういったものなのだろうか。司法統計によると家庭裁判所における遺産分割事件の数は、年々増加している。なかでも近年、こうした法律上の相続権を持つ家族と第三者によるトラブルは増えているようだ。

「ヘルパーや家政婦など血のつながらない第三者に遺産を遺贈したり、慈善団体に寄付したりするケースが増えています。また、愛人に遺産を残すといったケースもある。

 すべての基本は、“遺言に従う”ということになりますが、“遺言した当時には判断能力がなかった”として遺言が無効であるとか、ヘルパーや家政婦への遺贈については職業倫理が、不倫関係については公序良俗に違反するとして無効であるなどとして、家族が納得せずその有効性が争われることがありますし、仮に遺言が有効であるとしても遺留分があるという主張がされることがあります」

 遺言書の効力は大きい。だからこそ、正しく書き残しておかなければいけない。特に、第三者を巻き込む場合には注意が必要だ。

 遺言にはいくつか種類がある。

 主なものは、証人不要で自筆で書く「自筆証書遺言」と証人をたてて公証役場で作る「公正証書遺言」だ。公正証書遺言は、形式的に不備とされることが少なく、冒頭の事件の初子さんの遺言もまた公正証書遺言だった。

 弁護士の江木大輔さんも、「おすすめするのは公正証書遺言」だとアドバイスする。

「もちろん、自筆証書遺言でも公正証書遺言と同じ効力があります。全文が手書きされており、日付、署名、押印があれば、どんな紙1枚であっても遺言として認められます。ただ、自分で書くと形式上不備になりやすく、不備があれば無効になってしまいます。公正証書の場合は、形式上無効とされることはまずありません」

 ただ、公正証書遺言でも無効となることやトラブルになることもあるという。

「形式上問題がなくても、“遺言が本人の意思で作られたかどうか”が争われて、無効になることがあります。たとえば亡くなる直前に作られていたり、何度も書き換えられていたりすると、本当に本人の意思だったのか、内容に疑いが生じてしまうのです」(江木さん)

 本人は認知症で理解できていないのに無理矢理判子を押させたのではないか、都合のいいことばかりを並べて納得させたのではないか、などという疑念は、争いの大きな原因となり得る。

 そこで大切なのが、遺言の意図を書き記すこと。初子さんのように、なんの血縁もない相手に遺産を残す場合には特に重要な意味を持つ。

「多くの裁判で争われるポイントは、“なぜこの内容なのか”“こんな遺言を書くとは考えられないから本心ではないのでは”といった本人の意思です。なので、相続人に疑念を抱かせないよう、なぜそのような内容にしたかを遺言に書いたり、日記やメモに理由や気持ちを綴っておくことが大事です。

 後に争われたときに大きな証拠になります。また、認知症などから判断能力の有無が争われることもあるので、医師に判断能力があると診断書を書いてもらうとか、公正証書遺言を作成する場に同席してもらうのも手です」(江木さん)

 遺言は弁護士に預けるのが安心だが、一般家庭の場合は信頼できる人に預けるか、しまっている場所を伝えておいてもいい。巻き込みたくない、巻き込まれたくない相続問題。“死人に口なし”とならないよう、事前の丁寧な準備が必要だ。
(2月15日 NEWSポストセブン)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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