民法の改正作業が進んでいるそうです。
来年の国会に提出される模様。

案として挙げられているのが、
 ①配偶者の居住権の保護
 ②配偶者の貢献に応じた遺産分割の実現
 ③寄与分の見直し
 ④遺留分の見直し
 ⑤遺言の見直し

資産家の方々にとっては、
 ①・・・家屋敷は代々引き継がれるから関係なし。
 ②・・・二次相続を考えると使わないから関係なし。
 ⑤・・・専門家が付いているから関係なし。

ということで、関係するのは③寄与分と④遺留分でしょうか。

尽くした人が報われる社会が実現すればいいですね。


【相続ルール大規模改正へ 深刻な争い解決へ整備】

 民法の一部である相続法の改正作業が進んでいる。政府は来年の国会に提出する構えだ。配偶者の相続分の引き上げ、相続人が被相続人に対し介護などで貢献した分を反映する「寄与分」の要件緩和など見直しの範囲は広い。実現すれば1980年(昭和55年)以来の大規模改正となる。ただ遺産分割の仕方がより複雑になる可能性があり、相続紛争に拍車をかける恐れもある。相続はどの家庭にも起こるだけに改正の行方に注目しよう。

■遺産分割複雑に?/遺言様式は緩和へ

 法相の諮問を受けて相続のルール見直し作業が始まってから約1年。改正項目や見直し案が徐々に明らかになってきた。全て実現するとは限らないが、「見直し項目に対して大きな異論は聞かない」(相続問題に詳しい上柳敏郎弁護士)。改正が実現するかどうかは具体案にかかっている。

(image)

 高齢化や相続対象となる財産の蓄積が進んでいるにもかかわらず、相続法は80年以来大きく改正していない。遺産分割を巡る争いが増えるなど相続を取り巻く環境は深刻化しており「紛争解決・予防の基準ともなるルールをきちんと整備しておく必要がある」(法務省関係者)。確かに今回の見直し項目は相続を巡る相続人の間の紛争や不満でよくある例を念頭に置く。

◇           ◇

 まず被相続人の配偶者を巡る紛争だ。今のルールだと相続人が配偶者と子供の場合、法定相続割合は各2分の1。子供が複数の場合は均分となる。ただ相続財産が被相続人と配偶者が住んでいた家程度の場合は少なくない。子供がルール通りの遺産分割を主張して「配偶者が住み慣れた家を売却せざるを得ないことがある」(複数の弁護士)。

 配偶者の法定相続割合を状況に応じて弾力化すべきだとの声は根強い。高齢化が進む中、残された配偶者の生活保障をするには現在の法定相続割合は低いのではないかとの見方がある。反対に被相続人が再婚後数年で相続が発生した場合に、現在の法定相続割合は高すぎるとの声もある。

 また、寄与分を巡る紛争が深刻化している。「親の介護や療養看護に一切関わらなかった兄弟姉妹が、均分相続を主張するのは納得できない」。こうした不満を背景にした紛争が家庭裁判所の調停、審判に持ち込まれるケースは多いが、寄与分は認められても少額なことが多い。

 これは寄与分を認める要件が「被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした」となっているからだ。「特別の寄与」となるには「長期間介護にもっぱら従事した」ことなどを証明する必要がある。また寄与分は相続人に限定される。相続人の配偶者、例えば長男の嫁が貢献しても被相続人ではないため寄与分にカウントしない。

 遺留分を巡る争いも多い。遺留分とは最低限保証される相続分で、具体的には法定相続分の半分だ。ところが相続財産が親の自宅程度の場合に相続人が遺留分を主張(遺留分減殺請求)し紛争になると、共有物分割を巡る争いとなり地方裁判所の管轄になる。相続紛争は家庭裁判所で解決するのが原則だが、遺留分が絡むと地裁に委ねざるを得ない場合が出てきて、これが「紛争を長引かせる」(複数の裁判官)。

◇           ◇

 一方、相続では被相続人の遺言がある場合は原則として従う必要があるが、遺言が自筆だった場合、その遺言の有効性を巡る争いになることが少なくない。この背景には自筆証書遺言が全文を自筆したり訂正したりする場合に、押印が必要など様式が厳格なこともある。様式の緩和を主張する声は多い。

 今回の相続法の見直しは具体的な紛争の解決・予防を狙う。ただ、具体案をまとめるのは容易ではない。

 例えば被相続人の配偶者を巡る紛争を解決する手立てとして、配偶者に相続開始時に住んでいた建物を使える「長期居住権」を認め、それ自体を相続の対象とする案が示されている。また配偶者の貢献をより相続に反映するために、結婚してから相続までに増加した財産とそうでない財産を分け、婚姻期間に増えた財産は配偶者の法定相続割合を引き上げたり、20年以上連れ添った夫婦については法定相続割合を2分の1から3分の2に引き上げたりする案が浮上している。

 ただ結婚してから相続までに増えた財産を把握するのは容易ではない。居住権にしても財産価値をどのように評価するかを決めないと紛争の原因となりかねない。寄与分改正の具体化も難航しそうだ。

 一方、自筆証書遺言の様式の見直しは進む公算が大きいほか、遺留分が絡む紛争について家庭裁判所で全面的に解決できるように見直す可能性はある。

 いずれにしても具体案は夏くらいまでにはまとめ、一般からの意見を求めるパブリックコメントの手続きにかけることになる。政府案は早ければ来年初めまでに作成、来年の国会に提案することになる見通し。

 可決しても施行は先で、早くて数年後。しかし、今回の改正作業はかなり広範囲で、また根本的な見直しになる可能性があるので、今から関心を持って見ておくほうがよさそうだ。
(2月2日 日本経済新聞)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
async




async
アドバイザーをされたい方へ
ログインフォーム
メールアドレス
パスワード
パスワードを忘れてしまいましたか?
土地活用ドットコム