配偶者の生活に考慮した相続税法のあり方が議論されています。

今回、推進派、慎重派両方の意見がまとめられていました。
どっちにも理があって、調整は難航するだろうなぁって感じですね。

結局は、遺言が最も確実な対策の一つであることは間違いない話。
子どもたちを「モメさせない」のは、親の務めですね。

ところで、「後妻業」という言葉があるんですね。
初耳・・・(^^;

小説のタイトルなんですが、これがどうやら、
著者の知り合いに実際に起こったことみたい。

その知り合いが「後妻業」という言葉を使っていたので、
それがそのまま題名になったんだとか。

読んでみよっと。(^^;


【「配偶者を優遇する相続法制」 居住権保護や介護の貢献に応じた遺産分割】

 高齢化社会が進展する中、亡くなった人の配偶者の生活に配慮した相続法制のあり方が法制審議会・民法(相続関係)部会で検討されている。平成25年末に非嫡出子(婚外子)と嫡出子(婚内子)の相続分を同じ割合とする法改正が実施されたのがきっかけだ。これに先立ち、法務省の相続法制検討ワーキングチーム(WT)が配偶者の居住権保護や介護の貢献に応じた遺産分割などを提言している。推進派の吉田修平弁護士と慎重派の倉持政勝弁護士に聞いた。(池田証志)

 ≪吉田修平氏≫

 ■納得のいく相続に好機

 --象徴的な例として、夫と死別した妻がそれまで住んでいた家屋から退去を迫られると懸念されている

 「実の子供たちや夫の兄弟との間であれば、妻を追い出してまで家屋を売却して遺産分割するようなことは通常はない。ただ、非嫡出子が関わったり、家屋しか遺産がない場合ではレアケースだが、ありうる。フランスのように配偶者の短期的な居住権のようなものを認めてもいいのではないか」

 --妻が家事などの家庭生活を支えてきた努力を遺産分割に反映させようという案もある

 「食事や洗濯、掃除、育児をこなす妻がいてこそ、夫が外で働いて財産を築いたという部分はあるだろう。画一的に『配偶者には2分の1』とするのでなく、実質的公平性を考えて遺産を分割する“納得できる相続”を目指すべきだ。相続でなく“争続”といわれて久しいが、形式的に処理しようとすることのひずみが出ているのではないか。画一的な商品を大量消費する時代から何事もオーダーメードの時代になっている。逆に、『後妻業』という言葉があるように、再婚して間もない後妻が遺産の2分の1を相続するのは納得がいかないという子供たちもいるはずだ」

 --高齢化社会の中で、親への介護の負担も大きくなっている

 「現行法では、通常期待される程度を超える“特別の寄与”に該当すれば、遺産分割に反映することができるが、WTでは他の相続人に比べて介護の負担が大きい人に寄与分を認める制度が議論されている。これも“納得できる相続”を実現するいい機会だ。そうすれば、子供たちの間で親の介護を押しつけあうような事態も避けられるだろう。相続の権利を行使するためには、子供として親を療養看護する義務を果たすという考え方もある」

 --例えば、長男の嫁が義父母の介護をしていた場合、嫁には義父母の財産を相続する権利がないため、通常は遺産を受け取ることができない

 「嫁の貢献を評価し、長男の寄与分として認めてもいいかもしれない。相続法理には反するかもしれないが、従来の論理で説明できないことを認めることに立法の意味がある。また、今後は遺言に代わる信託契約がもっと活用されてもいいのではないか」

 --相続問題への参加者や評価する項目が増えると、紛争が複雑、長期化するという指摘もある

 「家裁がパンクするとか、弁護士がいくらいても足りないというのは、法サービスを提供する側の理屈だ。国民のニーズに合った法サービスを提供する態勢をいかに整えるかを議論すべきだ。一方で、だからこそ事前に家族で話し合っておこうという雰囲気づくりも大事だろう」

 ≪倉持政勝氏≫

 ■紛争が複雑化、長期化

 --配偶者を優遇する相続法制の必要性は

 「婚外子の相続分が婚内子と同じになっても、配偶者の相続分は2分の1で変わらない。配偶者の居住権が直ちに侵害される原因になるのか疑問だ。婚外子がいるケース自体が少なく、さらに婚外子が配偶者の居住権を争うケースはほとんどない。漠然とした不安感は理解できるが、国民のニーズがあるのか慎重に考えるべきだ」

 --WTは配偶者の居住権を保障する方策を提案した

 「被相続人の意思に反しない限り使用貸借は認められるという最高裁判例をもとに現行法で対応できる。立法化の必要がまったくないとは言わないが、法律で明記するのが技術的に難しいのではないか。再婚して間もない後妻に居住権を与えたら、前妻の子の目にどう映るか。配偶者の生活は守らなければいけないが、相続には家産を子孫に残すという視点もあり、バランスを失しないか。子より若い後妻が終身居住権を得た場合、子は事実上その物件を相続できなくなる。結婚後何年したら居住権を与えるかなど、配偶者の要件を定める必要もある」

 --配偶者の貢献を反映させるために、亡くなった人の財産を夫婦が協力して築いた「共有財産」と婚姻前から持っていた「固有財産」に分け、配偶者の取り分は前者を多く、後者を少なくする案も出ている

 「理論的には妥当で分かりやすいが、実務の立場からすると、実際にできるかが心配だ。共有財産か固有財産かの区別が難しい。銀行口座の中の現金を『共有』と『固有』に線引きして管理する人はいないだろう。相続紛争がさらに複雑化、長期化する。現行の『配偶者は2分の1』は簡明で分かりやすく紛争を早期に解決できるメリットがある。実質的な妥当性か、簡明さかを国民が選択する必要がある。パブリックコメント(意見公募)で傾向を調べるはずだが、前者をとるなら紛争の長期化を覚悟しなければならない」

 --親の介護を相続に反映すべきか

 「親の介護をするのが遺産分割の前哨戦となり、親の取り合いにならないか。それが国民感情にあっているか。親の面倒をまったくみてない子はいないだろうし、その際は親の要介護度も考慮しなければならず、ますますもめるだろう」

 --長男の嫁など相続人以外の人による義父母の介護は

 「実務感覚として考慮してあげていいのではないかと思うケースはある。親の面倒をみていない人が法定相続分を主張するのは、公平感から疑問が残る。ただ、どの範囲の親族を対象とするか、どれだけ貢献したら考慮されるかなど、要件設定が難しそうだ。これも紛争の複雑化、長期化を招く」

【プロフィル】吉田修平
 よしだ・しゅうへい 昭和27年、東京都生まれ。62歳。早稲田大法学部卒業。第一東京弁護士会所属。経済産業省の相続関連事業承継法制等検討委員会委員を務めた。一般社団法人「日本相続学会」副会長。

【プロフィル】倉持政勝
 くらもち・まさかつ 昭和47年、東京都生まれ。42歳。明治大大学院修士課程修了。第一東京弁護士会所属。東京家裁の家事調停官を務めた。共著に「新基本法コンメンタール 人事訴訟法・家事事件手続法」。
(6月7日 産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150607-00000517-san-soci


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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