「親は遺言書を用意するつもりはない。子は遺言書を用意してほしい。」
私もよく板挟みになります。(^^;

その背景にあるのは、均分相続の弊害ですね。

本来は、介護と墓守りと財産の三点セットであるべき。
でも、現行の民法では財産だけが均等・・・_| ̄|○

それを補完するのが遺言ですが、
親御さんとしては、積み上げてきた財産を奪われるようで積極的になれないワケ。

あと、戦前派の男性は特に、「介護は当たり前」と考えるフシがある・・・

記事にあるようなやり方の是非は置いておいて、
・まずは遺言書を書いてもらうよう説得
・ダメなら、想定されるシナリオとその対策(代償費用など)を講じておく
という2段構えで備えるべきですね。


【「遺言書」――嫌がる老親に書いてもらうには】

■「無理やり」は趣旨に合わない

 人生において、「縁起でもない」という言い回しがこれほどフィットする場面もそうはあるまい。遺言書である。老親に面と向かって「書いてくれ」と切り出すことじたい勇気の要ること。拒絶されるのはほぼ目に見えているし、頑として応じない親に無理強いして関係がこじれては、さらに厄介だ。

 「遺言書は書いてもらうというより、相続人が公正証書遺言と必要書類を(弁護士等に頼む形で)事実上用意しておいて、『おじいちゃん、一緒に公証役場に行こうよ』と勧めるんです。一度作った遺言書は修正できないと思っている人も多いので、『遺言書は何回でも作り直せるよ』が説得の文句として効果的でしょう」

 そうアドバイスする城南中央法律事務所の野澤隆弁護士は、「会社を引き継ぐための事業承継制度なども含めて、生前贈与を積極的に行うべきです」と強調する。年間110万円まで贈与税がかからないことは、すでによく知られている。

 「しかし、日本ではまだまだ徹底されていないですね。頭では得だとわかっていても、人はみずからの財産を手放そうとしないものです」(同)

 アンケート結果にも、人間のそんな心理が如実に表れている(図を参照)。実際に遺言書を用意している60代以上は、全体でも男女別でもほんの数%。「用意したいと思っている」を足してもやっと2割程度だ。受け渡すほどの資産を持たぬ人がいることを差し引いても、「用意するつもりはない」が3割以上という結果が、自分の財産に対する老親の執着心の強さを物語る。

(image)

 「今の法律はおかしい。介護と葬儀と墓代の負担分が度外視されているのに、遺産は均等に分けられる」――そう語るのは、主に企業の危機管理のコンサルティングを行うA氏だ。オーナー経営者を中心に常時20社と顧問契約を結び、これまで遺される社員や事業継続のため、社長に遺言書を書かせてほしいという依頼も多く受けてきた。今回、匿名を条件に取材に応じた。

 「現行の法制度では、親の面倒を見ない人ばかりが美味しい思いをし、長男・長女ばかりが痛い目を見ることになる。相続は誰もが納得いく方法でなければいけないはずです」(A氏)

 ただでさえ揉める要素が十二分にある遺産相続。A氏が「遺言書は絶対に書かなきゃダメ」と繰り返すのは当然だ。かといって、嫌がる親に無理やり書かせるのは「遺言書の制度の趣旨に合わない」(某税理士)。そこで、親の意思そのものを何としてでも「書く」方向へと強引に誘導してまうケースが散見されるという。

 「本来なら、自分がいつか死ぬことを当然の前提として、遺される人たちのために遺書を書くべきなのです。それを自分が死ぬこと、引退することを考えたくないばかりに、先延ばしにしようとする。社長が遺言書を書かぬまま認知症になれば、早晩会社が傾くのは容易に想像できます。そこで困った家族や社員が強硬手段に出るのです」

■一瞬だけ、猫を家の中に放つ

 現場では一体何が起きているのか。A氏は実際に詳細なヒアリングをしたケースとして2つの具体的な事例を本誌に語った。遺書を書きたくない親をP氏、書かせたい家族をQ氏とする。

 まず、第1のケース。

 Qさんが、家の中に猫を放つ。ガサゴソと音がするから、Pさんは当然びっくりして「誰かいる! 」と騒ぐ。そこでQさんは「え?  誰もいないじゃん」と、トボけるのだという。

 猫をほんの一瞬、家の中に入れて物音をさせ、後は外に出す。当初、親は当惑する。しかしこれが繰り返されることで、ふと「俺ももうトシかな? 」と悟り、ひいては「そろそろ遺言書でも書いておかにゃ」と思いを巡らすようになった、というのだ。

 ここまでやっていいものかと首を傾げたくもなるが、どうやら本当らしい。

 「Qさんはさらに周到に準備をしていた。例えば飼い猫だと居ついてしまうし情も移るので、餌付けした野良猫を選んだそうです。餌付けをすれば、そのうち勝手に家に入ってくるようになります。猫が映らない高さにビデオカメラを仕掛けておいて、後で『ほら、何も映ってないでしょう』という証拠にも使いました」(A氏)

■「どうも覗かれている気がする」

 第2のケースはさらに過激だ。父親R氏への、息子S氏の仕掛けだ。

 「Rさんがトイレに入っているときに、誰かに頼んで、その模様を窓の外から覗かせたんだそうです」(A氏)

 何と、用を足している親を外から覗いたのだ。振り向いたら隠れる。動作が遅い老親は気配を感じつつも、事態が呑み込めない。

 「肉親だとバレてしまうので、他人にお願いしたそうです。男親なら女性、女親なら男性。特に髪が長い女性なら幽霊にも見えるし、印象に残ります。家族に『どうも、俺は裸を覗かれている気がする』とRさんが告げる際、やはりどこかで嬉しいのか顔がにたつくんですが、Sさんはそこでうんざりしたように、『そんな爺さんのを覗く人なんか、いるはずないだろう』と切り捨てて、Rさんの不安を膨らませていったのです」(同)

 70歳を過ぎれば、どの老親も程度の差こそあれ恍惚となる自覚はある。その微妙な心理を突いたというのだ。

 「実は自分がボケ始めているのでは……と思えば、おのずと遺言書を書く気になります」(同)。

 A氏によれば、これまでにあげた2つと似たようなケースは頻発しており、中には半年以上も継続して追い詰めていく人もいるという。

 要介護認定を受ければ、さすがの親も遺言書を書きそうだが、やっかいなのは、認定する調査員の持つ74の質問事項がなるべく認定を回避するようにつくられているうえに、認知症の症状の出始めた老人が、調査員の前では身も心もシャンとしてしまうことだ。

 「ところが、調査員が表に出さないチェックマニュアルに『(実際には存在していない)物が人に見えると言い張る』という項目があります。調査員から明かすことはありませんが、こちらから『こんな症状がある』と言い出せば、調査員も顔色が変わります」(A氏)

 入院してから「遺言書を書いてくれ」と切り出すのはもっとやりにくいし、認知症や死亡のリスクも生じる。

 「頭では理解していても遺書を書かない人が多い以上、同じようなことは今後増えていくでしょうね」(同)

 人道にもとる手法に頼らず、誰もが納得する解決法はないのだろうか。
(5月6日 プレジデント)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150506-00015142-president-bus_all


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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