第三順位の遺産争いの事例。

子のいない方の遺産を、介護をした人もしなかった人も同じように相続する・・・
失礼ながら、お決まりのパターン。(^^;

突き放した言い方ですが、介護する方もされる方も、ちょっと認識が甘かったですね。

おば様に子どもがいないのは自明なので、遺言書は必須。
女性側も、「相続辞退」の口約束だけで終わらしちゃダメ。

このケースでは、専門家の協力を得て、協議が進んでいるようですね。
「女性の取り分を増やして、面倒を見た親族にも各相続人からいくらか渡す方向」だって。

上出来じゃないですか。
ヘタすると、使い込みを疑われることもあるわけですから・・・

ま、いずれにせよ、「気持ち」だけでは伝わらない時代です。
「ウチは大丈夫」という甘い考えは捨てましょうね。


【遺産相続、世話してないのに… 大介護時代】

 「世話はしないで遺産は要求する。それが血のつながった人間のすることですか」

首都圏に住む女性(60代)は語気を強めた。怒りはいとこの男性に向けられていた。

今年初め、80代のおばが亡くなり遺産が相続されることになった。自宅の土地など約4千万円。遺言書はなかった。おばに子はおらず、夫や兄弟姉妹はすでに亡くなっている。そのため、めいにあたるこの女性やいとこら複数に相続の権利が回ってきた。民法が定める取り分に従えば、女性は数百万円を受け取り、他の相続人にも相応の遺産が行き渡る。

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ただ女性には納得できない事情があったという。

女性の説明によると、ひとり暮らしのおばに、認知症の症状が見つかったのは5年前。外出時に警察に保護されることもあった。「誰かが支えてあげなければ」。女性はおばの世話を始め、老人ホームへ入所しても面倒を見続けてきた。衣服の用意から、外出時の介助、空き家となったおば宅の整理まで。ホームは女性宅から約50キロ離れている。通う頻度は徐々に増え、最後は付きっきりに。

おばの生前、女性はいとこから「面倒をみられなかったから相続は辞退する」と何度も聞いた。女性とともにおばの面倒を見てきた遠縁の親族がいたが、民法上はおばの遺産を受け取る権利がない。そのため女性は自分が遺産を多く受け取り、この親族と分けたいと考えていた。

ところが――。おばの死後、相続人が一堂に集まった機会に、いとこが突然全員に文書を配った。遺産を法で定める通り分けたいと書かれていた。女性は猛反対した。「おばの遺産の大半は面倒を見なかった人に渡ってしまう。そんなのおかしい」

相続では、亡くなった人の看護や介護をした相続人に対し、貢献度によって相続財産を上乗せする「寄与分」という考え方がある。

女性は弁護士ら専門家の協力を得て、いとこ側と協議、法定分より女性の取り分をやや増やし、面倒を見た親族には各相続人からいくらか渡す方向で話が進んでいるという。「おばの死だけでつらいのにお金の問題も重なり、精神的に疲れ果てました」

相談を受けた専門家の1人は「遺産はいらないと言っていた親族が、相続で態度を翻す例はよくある。認知症が進行しない段階で、面倒をみた2人に財産を渡すよう遺言を書いてもらうのが得策だった」と話す。

■介護の寄与、認定に壁

財産を残して亡くなった人は「被相続人」、財産を受け取る人を「相続人」と呼ぶ。相続人の範囲や取り分は民法で決まっている。例えば配偶者と子が相続人の場合は、遺産の半分を配偶者が得て、残りの半分を子が等分する。これとは別に、被相続人の遺言や相続人の協議で決める方法もある。

介護などの「寄与分」についても民法で定められている。ただし寄与分が認められるのは、療養看護などによって被相続人の財産の維持・増加につながる「特別の寄与」があった場合とされる。一般的な世話や介護をしたと主張しても、「特別の寄与」と認定されるケースは少ない。

ではどんな事例で寄与分が認められるのか。大阪家裁の過去の判例をみてみよう。この事例では、被相続人は父、相続人は子ども4人だった。うち1人の息子が、父が亡くなるまでの3年間、3度の食事の世話や外出時の付き添い、排便の対応などを引き受けた。家裁はこの息子に対し、1日あたり8千円程度、3年分で計876万円の寄与分を認める審判をした。

一方、他の家裁の審判では「数年間、朝と夕方に親の家に通い、簡単な朝食を作ったり夕食を差し入れたりした」などという寄与分の主張が認められなかった例もある。親族間の協力にとどまるとみなされたためだ。

専門家と連携して相続の支援をする会社「夢相続」(東京都)の曽根恵子社長は「介護などで面倒を見たと主張しても、親族間の扶養義務の範囲とみなされて寄与分が認められないことが多い」と話す。

さらに法律上は、寄与分が認められるのは相続人のみ。たとえば長男の妻が義理の親を親身に介護した場合を考えてみる。義理の親が亡くなったときの遺産相続で、この妻は遺産も寄与分も受け取る権利がない。相続人である夫(長男)が生きていれば、妻の介護が夫の寄与分として反映されることもある。夫が亡くなっていると、遺言などがない限りは、寄与分の求めようがなくなってしまう。

曽根社長は「相続が起きた後にもめないためにも、被相続人が元気なうちに財産をどう分けるか話し合うことが大事」。今年1月には、相続に関する法の見直しを検討するワーキングチームが法務省に設けられ、寄与分の扱いなどについても議論されている。
(11月26日 朝日新聞)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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