静岡県弁護士会が、「自治会ホームローヤー制度」に取り組んでいるそうです。
自治会ごとに担当弁護士を割り当てて、無料電話相談に応じる仕組み。

5月の調査では、回答者42人が受けた相談件数は160件。
このうち弁護士に相談したのが初めてという人は9割に達したんだって。

ある弁護士は、電話相談を26件受けて、5件が有料の依頼につながったとか。
結構いいんじゃない?(^^;

ランチェスター戦略で言う、地域密着の接近戦ですね。
過当競争を抜け出した実例として、参考になりました。


【「かかりつけ弁護士」成果】

 県弁護士会が住民の「かかりつけ弁護士」を目指し、静岡市で始めた無料の電話相談「自治会ホームローヤー制度」が成果を上げている。自治会ごとに担当弁護士を割り当てる全国初の試みで、無料相談で詐欺被害を防いだり、相談の一部が有料の依頼に進展したりしている。一方で、隣人トラブルが制度になじまないなどの課題も見えてきた。(佐藤純)

 「ネット上で、ある法人から退会手続きが済んでいないと多額な延滞料を請求された。でも、これって詐欺ですよね」。清水区の茨木祥人弁護士(32)に今年の初夏、制度を知った中年女性から相談があった。女性は架空請求と分かっていながら、無視しても大丈夫なのか困っていた。

 茨木弁護士は無視するよう助言して電話を切ろうとしたが、話はここで終わらなかった。女性はネット上に残る自分の情報を削除できる業者を検索サイトで見つけたので、近く手数料5万円を支払って消してもらう予定という。それを聞き、「それも詐欺です」とすかさず指摘した。

 清水区の3自治会、約9000世帯を受け持つ茨木弁護士は、無報酬の電話相談を26件受け、このうち相続や退職問題など5件が有料の依頼になった。「最初はどんな依頼になるか不安もあったが、眠った問題を掘り起こすよい制度だ」と話した。

◆悩む相談も

 県弁護士会が5月下旬に弁護士を対象に実施したアンケートで、回答者42人が受けた相談件数は160件に上った。このうち弁護士に相談したのが初めてという人は9割に達した。離婚や相続、犬にかまれたなど様々だが、葵区の山形祐生ゆうき弁護士(30)は「制度になじまない相談もあった」と振り返る。

 担当地区の男性から「隣の家の雨どいから流れる水が、自分の敷地に入って困る」との相談だ。近隣トラブルは比較的みられる相談だが、「相手側から同様の相談があることも想定しなければならない」との理由で、県弁護士会の相談窓口を案内した。

◆身近に感じて

 導入の背景には、全国で高齢者を狙った振り込め詐欺が横行していたことがある。警察庁によると、2013年の全国の振り込め詐欺被害は9204件、約255億円。手口が巧妙化して被害額は3年前の3倍に上った。県弁護士会長時代に導入を進めた中村光央弁護士(62)は「なじみの薄い弁護士を、身近に感じてもらえるきっかけになる」と強調する。

 法曹界に構造的な事情もあった。司法制度改革で弁護士が急増し、法律事務所で経験を積む従来型の「イソ弁(居候弁護士)」や執務場所を借りて独立採算で活動する「ノキ弁(軒先弁護士)」にすらなれない現象が大都市圏でみられるようになった。日弁連は「訴訟件数が思うように伸びないのが原因。全国の弁護士会で若手弁護士が就職しやすくする様々な取り組みが行われている」と語る。

 県弁護会の弁護士は今月7日現在で424人に上り、国内で法科大学院が開校する前の03年に比べて1・9倍となった。住民を守るために法律家の助言を受けたい自治会と、若手弁護士の仕事に結びつけたい弁護士会の思いが重なった。

 全国の県弁護士会の活動に詳しい中山幸二・明治大教授(民事訴訟法)は「弁護士にはアウトリーチ(手を差し伸べた支援)という考え方も必要。住民の声にしっかり耳を傾けて福祉や労働など新たな問題を掘り起こそうという姿勢がさらに求められる」と指摘する。


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
async




async
アドバイザーをされたい方へ
ログインフォーム
メールアドレス
パスワード
パスワードを忘れてしまいましたか?
土地活用ドットコム