私はマズローの『5段階欲求』を
(1)命の安全安心
(2)衣食住の最低限の生活
(3)人並みの生活
(4)人以上の生活
(5)満足できる自分だけの生活の5段階があると考えています。
人間というものは下位の欲求が満たされないと次の欲求が出てこないというか、向上心が出ないようです。
まあ一言で言うと『衣食足りて礼節を知る』で、食べ物がなくて生きていけないのに礼儀作法どころではありませんね。
介護サービス付き高齢者住宅のゴールドエイジの運営も全く同じです。
(1)命の危険があって入院されていて、退院されてゴールドエイジに戻られた入居者様にとっての私達の最優先は『命の安全の確保』です。お元気になっていただけるように最善をつくします。
(2)ご自宅で食事が作れなくて栄養失調になる高齢者。あと何年生きるのかが心配で生活費が足りなくなる金銭的不安をかかえる高齢者。ゴールドエイジに入居されますと介護保険の自己負担ゼロで、安い家賃と食費で一生安心して生活できます。『最低限の衣食住』が確保できると将来が明るくなるものです。
(3)次に若い時と同じとはいえませんが、それなりの『人並みの生活』がしたいと思うものです。そうするとデイサービスに参加したり、PT・OT・STなどの機能訓練を受けて体を元気にしたいと考えます。なかなかいい感じでやる気が出てきましたね。
(4)するともっと楽しい生活がしたくなり、クラブ活動に参加します。(映画・手芸・体操・カラオケ)そして特技を活かしてお花を生けたり植栽をしたり。それを人に教えたりして、人のお世話をして、人以上というより『人の役に立ちたい』と思うものです。
(5)そしてついに自分だけの生活スタイルに目覚めます。もう人からどう思われようが関係なく、自分が満足できる生活を一生涯続けていけばいいのです。これがマズローの言う『自己実現』ではないでしょうか…。
私が何故こんなことを言うかといえば、それは執行役員の研修でやっている入居者様の『聞き取り』を行う『生活向上委員会』の報告を聞いたからです。本当にたくさんの入居者様のご意見や感想が出ていました。
私はもう5ヶ月間くらいその報告を聞いていて感じて思い出したのが、学生時代に勉強したこのマズローの5段階欲求でした。
入居者様はお一人お一人の立ち場というか、立ってみえる位置が全然違うんですね。
それぞれのお悩みとご苦労、そしてそれぞれの楽しみや欲求や生きがいがお一人お一人違うのです。
で分かったことは、一人一人の入居者様にご満足いただくためには100も200もやるべきことがありますね。
しかしそれも大切なことですが、一番大切なこと、絶対に大切なことが1つだけありました。それは『聞き続けること』でした。
お聞きすると皆さんが明るくなって楽しくなっていただけるみたいです。そして聞いてもらっただけで満足されていました。
自分が認められ受け入れられたんだと喜ばれているんですね。そして前向きになり生きることにも積極的になられています。私ももうびっくりしていて、これからもずっとゴールドエイジ の日々の活動の中で『聞き続けること』を実行していくと決心しています。
あるお金持ちの高齢者のお婆ちゃんが、一時入居金8,000万円の最高級有料老人ホームに入居していて言われたことです。『こんな牢屋みたいなところを早く出たい』でした。いくら高級な施設でも話を聞いてもらえない、受け入れてもらえない、認めてもらえない…。
マズロー先生に『6段階目の欲求』があるとすれば、それは『話を聞いてほしい欲求』だったのではないかと私は気付きました。これからも聞き続けていきます。