費者が求めているもの、つまりニーズを追求していくと、そこには時代ごとの大きな変化というものがあります。マンションにおけるニーズでも同様のことが言えるのですが、共通していることは「答えは一つではない」という点。では、提供者は何をしなければならないのかというと、求められているニーズに対して柔軟な複数の選択肢を用意する必要があるのです。私自身も、様々なニーズに応えるためにはどうすればいいのか、試行錯誤を繰り返してきた一人ですが、ここで大切なのは、用意する複数の選択肢が独自なものであれば、そこに付加価値が生まれるということ。私はそこに着眼しました。「消費者が住みたいと思うマンションとはなんなのか。」「地域が求めているマンションとは何なのか。」考え抜いてたどり着いたのが、そのマンション自体のコンセプトをしっかり見つめなおすといったことでした。これからここに建てるマンションは、どんな目的で、何を売りとした建物なのか。そして、そのコンセプトはニーズにマッチしているのか。これこそ、他社がきちんとやっているようで実行しきれていないポイントだと考えたのです。そこで、私は「カテゴリーマンション」という考え方にたどり着きました。。「カテゴリー」とは日本語でいうところの「範疇」という意味です。同じ性質のものが属する部類、部門、領域といった意味合いなのですが、マンションにもこの考え方を導入すべきだと思いついたのです。つまり、入居者の絞り込みです。「このマンションにはこんな人たちが住む」とあらかじめ決めることで、どんなマンションにしたらその人たちが喜んで住めるのかが見えてくるようになります。しかしこう言うと、「入居者層が狭くなることで、人気のない物件になるのではないか・・・」という心配をする方がいるのですが、果たしてそうでしょうか?限定したからといっても、その人たちしか入居してはいけないと言っているわけではありません。あくまで、どんなマンションにするのかという明確なコンセプトを打ち出すために、ターゲットの絞り込みをしたに過ぎないのです。例えば「単身で働く女性」にコンセプトを据えたとしましょう。しかし、実際に住む人の中には女子学生もいれば、姉妹で2人暮らしをする人もいるはずです。つまり、そこがニーズになってくるのです。「単身で働く女性」のニーズとマッチすれば、それを求める人たちが入居する。確かに、ターゲットの絞込みは、入居の可能性がある人を減らすのは事実です。しかし、入居が決まる確率は、格段にアップします。