昨日、SG阪神いきかた研究会を開催しました。
テーマは、「賃借人の死亡と残置物の処理に関するモデル条項」。
講師は、帆風法律事務所の佐藤啓介弁護士です。
昔々の賃貸借契約には、保証人がいないことが多いですよね。
この入居者がお亡くなりになった場合、家主のニーズは、
早く明け渡してもらって次の人に部屋を貸したい。
でも・・・
①借主が亡くなる=契約が消滅するわけではない
②中の物品→勝手に捨てていいわけではない
③身寄りがない=「誰も相続しない」わけではない
要は、保証人や親族等の連絡先がわからなければ、
相続人を追跡して、賃貸借契約を解除してもらう必要があるわけです。
でも、今まで没交渉だったから、相続放棄されることが多いんですね。
皆様もご存じの通り、相続放棄は、
「相続の開始があったことを
知ったときから3ヶ月以内」。
同居の親族なら、知ったとき=死亡日なんでしょうけど、
疎遠になっている子なら、家主が追跡をして、連絡した日。
この子が3ヶ月後に放棄した場合は、
第二順位の父母や祖父母に連絡して、これが「知ったとき」。
父母が3ヶ月後に放棄した場合は、
第三順位の兄弟姉妹に連絡して、同じくこれが「知ったとき」。
兄弟姉妹も3ヶ月後に放棄した場合、
ようやく相続人不存在が確定するわけです。
ここまで、子が判明してからMax9ヶ月!
おまけにここから、相続財産清算人申立てがスタート・・・_| ̄|○
家主のニーズは何でしたっけ?
早く明け渡してもらって次の人に部屋を貸したい。
こんな長期塩漬けのリスクを抱えるくらいなら、
家主が高齢者の入居を拒否するのも理解できますよね。
そこで、単身高齢者の居住の安定確保を図るため、国交省が令和3年に、
「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を策定しました。
要は、保証人がいない単身高齢者向けの、
賃貸借契約解除や残置物処理などの死後事務委任契約案です。
→
残置物の処理等に関するモデル契約条項の活用ガイドブック家主がこのモデル条項を取り入れるメリットは、
・契約窓口がわかる → 相続人調査が不要に
・明渡しまでの期間が短縮される
・賃貸借契約の間口が広がる(=高齢者にも貸せる!)
受任者に想定されているのは、推定相続人、居住支援法人、管理会社など。
居住支援法人や管理会社にとっても新しいビジネスになりますね。
いい制度なのに、あまり知られていないですよね。
先んずれば人を制すですね。
土地家屋調査士 大阪 和田清人