昨日、こんな記事を見かけた
https://news.yahoo.co.jp/byline/takizawanobuaki/20200622-00184309/
私の周りでも不動産賃貸業からのクラスチェンジもしくは二足の草鞋的に
宿泊施設を開業した人も多い。
かくいう私も住宅宿泊事業法に法った形での施設をオープンしようと準備していたが
今回のコロナ禍で断念。
通常の賃貸に戻すことを余儀なくしている。
私の場合には幸いなことに1部屋(3LDK)という規模だったので影響も軽微であったが
思い切り軸足を置いていた友人たちの中には、はかなり厳しい状況に晒されている人もいる。
そんなこともあり、何と無しに読んでいた記事ではあったが。
この一文は「対岸の火事」と言えぬまでも「隣町の火事」を見る気分で記事を読んでいた私にとり
急激に「他山の石」とするに十分なインパクトだった。
「京都に隣接するエリアにあってリーズナブルな利用ができることでも注目されていたロイヤルオークホテルであったが、京都市内でホテル開業が相次いだこともあり競合が激化していた。」
これはとても、他人事では無い。
実は記事のロイヤルオークホテルはインバウンド需要を取り込み売り上げを伸ばしていた施設では無く、
現に海外旅行者からの売り上げは全体の10%程度であったという。
もちろん最終的にはコロナが経営を急激に圧迫したのだが
ジリジリとその首を絞め続けたのが何かと言えば
「インバウンド需要を見越して乱立した隣県「京都」の宿泊価格競争」
これは我々にとっても危機感を持って見ざるを得ない状況だろう。
何故ならば近年、賃貸住宅も乱立の一途をたどる。
問題なのは需要に応じての新築の建築では無く
投資熱に押されての新築であるところだ。
これは私にとり
「インバウンド需要を見越し宿泊所が乱立した京都の悲劇」
より酷いモノのように見える。
「京都の例」は少なくとも「インバウンド需要」を見越しての事なのである。
賃貸需要の先細り、今後「明けない冬」が到来する事が予想され既に10年ほど経過しているにも関わらず、
新築の賃貸住宅が増産され続けるこの状況は「明らかに異常だ」
「みんなで大家さん」という金融商品が有るらしいが「みんなが大家さん」になった未来では
誰が物件を借りてくれるのだろう?
新築は融資付けが容易であることから持て囃されるが、
その企画をする際には市場の動向をしっかりと見定めることが(言わずもがな)今後最も重要となる。
こんな当たり前の事が、新築を計画する段では完全に欠落をする。
最終的な思考は
「まぁ俺が作った原価よりは高く売れるでしょ?」
となるのだろうが、昨今は異常状態で物件が高騰していたと思った方が良い。
(いま現在もコロナ禍の最中にあり、価格は下がっていない。これは対策融資を利用した市場の下支えがあると思われる)
そんな場所で新築なんか建てて、本当に大丈夫か?
と思う物件のほとんどが永続的なインカム狙いでは無く
ババ抜き要素の強いキャピタル狙いである事が明らかだ。
そうして「世界」には、売り抜けた側の幾ばくか(規模という極大なリスクを取らない限りは)のキャピタルが残るのみで、
買った人間の後悔と、周辺市場への家賃下落、また空室率の増大という負の財産しか残らない。
昨今、特にここ3~4年はこういう事例が本当に、本当に本当に増えている。
これがやがて、町内の火事になっても生き残れるように。
他山の石として抱え、自らを磨き続けなければいけない。
以下次号