人は生きている限り、その身体が所有権の対象になることはありません。
しかし、人が亡くなり、遺体や遺骨になった場合、これらが所有権の対象になることは
古くから認められてきました。
ただし、ここでいう所有権は埋葬、管理及び祭祀、供養の目的に限られた所有権です。
祭祀財産の承継に準じ、慣習上死者の祭祀、供養をつかさどるべき者に帰属するとする説が
通例であり、判例にもなってます。
ただし、亡くなった被相続人の葬礼と祖先の祭祀とは必ずしも一致しませんので、遺体、
遺骨の所有者と祭具など祭祀財産の承継者を常に同一人にする必要はないとされています。
では、臓器移植と遺族の承諾について見てみると、臓器移植の要件として、
①本人の書面による意思表示があり、遺族も同意の場合
遺族がいないときは、本人の意思のみ
②本人の書面による意思表示が不明であって、遺族が書面により承諾するとき
この場合の遺族の範囲は祭祀承継者と一致しませんし、承諾を要するのも、遺体の
所有権よりも摘出によって傷つけられる遺族の感情保護に着目したものといえるでしょう。
次回は政府系が公表するさまざまな経済指標について考えていきます。