我々は、とにかく自分たちの生活を便利にするために、と様々なものを発明して生活に利用してきました。けれども、結果的にそれが環境汚染などに繋がり、気候や地球環境にまで影響を及ぼしてしまっています。排気ガスの増加と森林伐採による温暖化は、今では地球規模の環境問題にまで発展してしまいました。その結果、今、社会全体がすべてに対して環境に優しい状況を求めています。このことは、マンションを経営する中でも忘れてはいけません。ただ安くて丈夫だからという理由だけで、環境や人の健康に悪影響のある材料を使用して商品を作っても、その状態を長く続けていくことはできないのです。それは、ニーズ云々という前に、誰もが持ち合わせていなければならない使命だと思いませんか?マンションを建てるにしても、まずはその材料が環境や人の健康に優しいものである、というのは絶対条件だと考えています。そして、市場調査を徹底的に進めていけば、今、そこの地域に何が不足しているのか、ということが見えてくることもあります。近くに新しい小学校などが建設された地域では、そのまわりにファミリー向けの住居が必要なはずです。しかし、地域の変化に住宅環境が対応しきれておらず、家族で住めるような賃貸マンションが不足している、という実例もありました。また、当然、新しいマンションを建設するときに、デザイン面を無視することはできません。それは誰もが、できることならばみんなに自慢のできるような建物に住みたい、と考えるからです。デザインというのは、実用性と有意性の両方を兼ね備えて成立しているものです。満足のできる機能が備わっているのは当然の条件ですが、そこに美的な要素が加わっていなければ、入居者は満足してくれません。しかし、間違ってはいけないのは、他の建物より目立っていればデザイン性が高いということにはなりません。なぜなら、奇抜なアイデアというのは、一部の人からしか高い評価を得ることができないからです。そこで重要になってくるのが、その地域にあった外観のマンションを建設するということです。そこで私は、テイスト別にいくつかのデザインを用意して提案することがあります。それは、スタンダードに忠実なシンプルなタイプのものから、ヨーロッパ風のモダンデザインのものまで様々です。地域の街並みを崩さず、且つありきたりなものとは違った外観のものを建てる。地域性を無視した場所に長く住み続ける人はいません。このように、経営自体をもっと大きな規模でとらえ、顧客に加えて、環境や社会に望まれている経営をしていかなければ、生き残っていくのは不可能です。経営者というものは、なにか一つのことだけに集中してしまうのでなく、全体像を把握している必要があります。そして、あらゆる面でその企画力を発揮してこそ、初めて“自分の会社にだけできる仕事”というものが生まれてくるのです。