第2回講義にて、ADR法に基づき民間紛争解決事業者を選定し、裁判外にて賃貸借契約に関する紛争を実務専門家を間に立てて(和解委員といいます),和解委員の先導によって話し合いで解決するための、契約書策定上の要点を解説しました。
(image) 土地活用ドットコムも、ADR制度により紛争を解決するため加入していますが、ADR法に基づき組織される民間紛争解決手続き機関として、これらの問題を専門的にかつ、実務専門職者により解決を導くことを趣意としている、「一般社団法人日本民事紛争等和解仲介機構(03-5795-1423和解会議事務局)」を推薦いたします。 さて、賃貸借契約書に、裁判手続きによらず、民間紛争解決機関に付託して実務専門家を仲介人として話し合いで(和解制度です)終局解決を図るためには、最終条項にADR手続き合意条項を搭載することが必要であることは前回解説しました。これを契約締結時に賃借人に説明することで、賃借人は契約により指定した民間紛争解決手続き機関との和解協議を拒むことはできません。しかし、注意すべきことは、ADR手続(話し合い)で紛争を解決するということは、人間が策定した法律及び判例(これを人的規範といいます)を論拠にして、法律論争を行うこととは違うということを賃貸人が理解しなければなりません。法律論争を行うことを主張するなら、弁護士を選定し、裁判手続きを選択すればよいのです。 そこで皆様に理解してほしいことは、ADR手続きで紛争を解決すること、それも、費用時間をかけずに(裁判手続きは費用、特に時間が多分にかかります。これを時給換算すれば、どれだけ無駄な出費をしているか実感できます)早期に解決する秘訣は、賃貸人においても、法的主張は控え、譲歩の精神をもって、実務専門家である和解委員の指導に従い話し合いを継続することです。 次回は、実例研究(ケーススタディー)編に進み、いよいよ個別賃貸契約紛争を挙げて実践的ADR解決の方法を講義することとします。