■平成23年(2012年)10月からスタートしたサービス付き高齢者向け住宅、直近のデータ(平成27年1月末)によりますと、3年3カ月で169,338戸(5,239件)の登録件数となりました。そもそも2010年から10年間で60万戸が国土交通省の目標でしたので、30万戸が今年度末の目標数値となります。その目標からすると約半分の達成率となりますが、60万戸のうち、住宅型有料老人ホームも含まれますから、達成率はもっと上がるのかもしれません。(住宅型有料老人ホームの戸数は、平成24年度末には11.8万戸でしたので、現在では、おそらく13万戸くらいになっているなっているのではないでしょうか。そうしますと、約半数の30万戸弱となり、目標はほぼ達成しそうです。)もともと、半年をかけて今までの高専賃(高齢者専用賃貸住宅:専ら高齢者向けの賃貸住宅)・高優賃(高齢者優良賃貸住宅:家賃補助あり)・高円賃(高齢者円滑入居賃貸住宅:高齢者の入居を拒まない賃貸住宅)を生活支援サービスを行っているか、面積基準を満たしているかで篩(ふる)いにかけて約4.6万戸のうち、約3万戸がサービス付き高齢者向け住宅に再登録されましたので、新規では約14万戸が登録になったわけです。しかしながら、累積件数は当然増加傾向ですが、昨年からその数字の伸びに鈍化が見受けられます。その大きな理由に、一昨年度からの建築費高騰や昨年度からの消費税率アップがあろうかと思われます。本シリーズでは、それ以外の原因となっている玉石混交のサービス付き高齢者向け住宅の現状を深堀りしていきます。ご期待ください。■サービス付き高齢者向け住宅の「高齢者向け住宅」とは?当初の名称案は、「サービス付き高齢者向け賃貸住宅」でした。高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)、高齢者専用賃貸住宅(高優賃)と高齢者の住まい(賃貸住宅)の登録制度が複雑であった為、サービス付き高齢者向け賃貸住宅に一本化し、都道府県知事の登録制度を創設するというものでした。しかしながら、この登録制度の元になる法律が、国土交通省が2001年に策定した「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正でしたが、厚労省との共管となった為、厚労省管轄の有料老人ホームも高齢者の住まいの範疇ではないかとなり、有料老人ホームも登録可となった為、「賃貸」の文字が削除されました。また、サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けた場合は、有料老人ホームの届出は不要としました。有料老人ホームの定義は、1人以上の高齢者が入居し、食事・介護・家事・健康管理のいずれか1つでもサービスを受ければ有料老人ホームとなりますが、これらのサービスを行っても、サービス付き高齢者向け住宅の登録を行なえば、有料老人ホームの届出は不要となります。このあたりが、サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームとの違いが不明瞭となっている一因です。詳しくは、第3章・第4章でお話しします。■サービス付き高齢者向け住宅の「サービス」とは?サービス付き高齢者向け住宅の「サービス」の定義は、高齢者向け住宅に住む高齢者へ対しての見守り・生活相談等の生活支援サービスを指しています。この「安否確認・生活相談」サービスは必須ですので、そのサービスを提供するスタッフが必要です。その要件は、マンション管理人では駄目で、ヘルパー2級(介護職員初任者研修:旧ヘルパー2級)以上の介護資格を有する人です。昼間(午前9時から午後5時まで)年中無休(ただし正月休みは除く)の有人対応です。ただし、デイサービス等の生活支援施設が併設されている場合は、その職員(ただし、施設業務との兼務不可)が担当できます。「安否確認・生活相談サービス」は生活支援サービスに該当し、その費用(人件費)は、入居者の実費負担(介護保険外)となります。しかしながら、将来、高齢者に必要となる介護サービス、医療サービスは必須条件とはなっていません。高齢者住まい法でサービス付き高齢者向け住宅の定義は、「高齢者の居住の安定を確保するため、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携して、高齢者を支援するサービスを提供する」とあります。高齢者が終の住まいとして「サービス付き高齢者向け住宅」を選択する場合、生活支援サービス以外に介護・医療サービスが受けられる物件を求めているということを忘れてはいけません。詳細は、第2章のテーマです。■「サービス付き高齢者向け住宅」長い名前ですよね、何か良い愛称は?高齢者円滑入居賃貸住宅は「高円賃」、高齢者向け優良賃貸住宅は「高優賃」、高齢者専用賃貸住宅は「高専賃」と今までの高齢者の賃貸住宅は、3文字の略称で呼ばれていました。では、サービス付き高齢者向け住宅は、今あった「賃貸」の文字がありませんので、「○○賃」とは言えません。「高齢者」は共通でしたので、「高○○」でしたので、今回も「高齢者」の文字が含まれていますので、「○高○」と言えそうです。これまでの略称の付け方から言うと、「サービス付き」は「サ」、「高齢者向け」は「高」、「住宅」は「住」となりますので、3文字を付けますと、『サ高住』となります。民間業者は、当初からこの「サ高住」と呼び習わしています。しかしながら、国土交通省は、「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」や「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」などの説明会では、「サ付き住宅」と略称で呼んでいます。この二通りの呼び方、既に3年経過しますが、なかなか一本化は難しいようです。
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