(image) これまで、建物賃貸借契約書を締結する際に、宅地建物取引業者が雛型で使用する書式には、通常、末条に以下の条項が記載されいます。
第○条 合意管轄本件契約に関して、当事者に紛争が生じた場合、賃貸人(甲)の住所地を管轄する地方裁判所を第1審の裁判所とすることに合意する。ADR法により、裁判外での民間紛争解決手続の促進が制定される以前は、紛争解決の終局判断機関は、「裁判所」以外に存在しませんので、疑問なく、本模範条項を記載して契約を締結していたものです。しかし、現在は、
裁判手続以外の紛争解決のための制度が保障されたわけですから、疑問なく、裁判合意を選択する必要はありません。契約は、あくまで経済活動における一様の取り決めにすぎないわけですから、紛争を早期に解決するためには、実務に精通した教養専門職者の実情に即した判断こそ、忖度すべきものと考えを変えるべきです。法律論争(白黒を法律解釈により決すること)は、いたずらに紛争解決を長期化させることはこれまでの経験から明らかです。そこで、皆様の紛争解決を
民間紛争解決手続(和解仲介手続と定義)により尽力する「
日民機構」を民間紛争解決機関として「紛争発生時にADR手続」で解決することを当事者で合意するために以下の模範条項を記載することをお勧めします。
○ADR手続合意契約条項記載例第**条(和解合意及び管轄合意) 本契約に関して当事者に争いが生じたときは、当事者は裁判外の民間紛争解決手続きの利用の促進に関する法律に基づき、民間紛争解決手続により解決を図るものとし、当該解決のため一般社団法人日本民事紛争等和解仲介機構に和解判断を依頼し、当該判断を最終のものとしてこれに従うものとする。2.民間紛争解決手続に関する一切の事項は、一般社団法人日本民事紛争等和解仲介機構の定める規則によるものとする。3.前2項による民間紛争解決手続きにより紛争が解決せず、当事者が通常訴訟手続きを選択する場合、( )の所在地を管轄する地方裁判所を第1審管轄裁判所として合意する。以上の条項を、今後賃貸借契約書を管理会社等が起草するに際し、契約書に記載するよう、オーナー自らが提言することをご検討下さい。尚、継続的に賃貸借契約を処理するオーナーが、日民機構を和解仲介機関として指定する場合、当機構の維持管理のための賦課金を会員(寄付会員と定義)としてご負担いただく必要があります。詳細は、日民機構の公式HPにてご案内しております。これから賃貸経営をご決断のオーナー、そして既に賃貸経営を行っているオーナーにおかれましては、賃貸借契約の在り方に無関心(業者任せ)である方が非常に多いのも現状で、その結果、無益な法廷闘争に巻き込まれている現実を直視し、紛争解決をオーナー主導で管理するための契約管理、契約戦略のありかたにより関心をもつことこそ、プロの賃貸経営オーナーと言えるのです。ご不明な点は、お気軽にご相談下さい。