先月の4月号で訪問看護の4割が赤字、介護施設の5割が赤字、医療法人の7割が赤字と書きましたが、何故こんなにも多くの赤字の事業所があるのでしょうか…。それは厚労省さんの点数誘導の計算の仕方に原因があると私は考えています。それが悪いと言っているのではありません。医療保険や介護保険や国の補助で集めた多額の財源を、全ての国民に平等に配分するためには、この緻密に計算された点数の数字をもとにして医療・介護の報酬を決める以外に方法はありません。日本は世界トップレベルの世界一レベルの高い医療制度や介護制度が施行されている国だと私は考えています。 しかしその一方で、この誰がやっても同じ報酬の計算式の平等性がこんなにも多くの赤字を生んでいると考えています。同じ時間単位の中で利用者さんが大満足しても、大不満であっても報酬額は同額なのです。これは一般的な小売店やサービス業や全ての企業に共通する『お客様目線』『顧客第一主義』『お客様満足』の事業や商売の基本が全く抜け落ちているのです。よくやっても、よくやらなくても同じ報酬。同じ時間単位の中で決められたことだけをやればいいのが今の制度です。 そこにはトヨタ生産方式の『カイゼン』とか『QC活動』とか『かんばん方式』とか『ジャストインタイム』などが何もないのです。やりなさいと言われる通りにやればいいのがこの医療・介護の業界なのです。しかしそれは命を預かる、そして命を守る仕事なので、売上や利益を目的に仕事はしないという、素晴らしい理念や哲学や使命を持って努力しているのが医療・介護で働く人達ではないでしょうか。それで正しいと私は考えています。 考えてはいますが、もう少し目線を上げて、目標を高く持ってもらいたいとも考えています。赤字でいいのですか。それでは社員さん職員さんの給料も上げられない。上げられないので職員の採用ができないので政府から補助金が出る。それでも赤字が4割・5割・7割もある現実は、誰が考えてもおかしいし、それでは国民の税金を無駄使いしているとしか考えられません。厳しい判断ですが、医療・介護報酬の中からお給料をもらっている私達は、一度振り返って真剣に考えてみる必要があるのではないでしょうか。 私は現行の制度を変えてくださいと言っているのではなくて、私達は高い志を持つと共に、一般の企業さんと同じ経営努力をすべきではないでしょうかと申し上げたいのです。その赤字を出さない努力とは(1)決められた内容の仕事を時間内に終わらせること。(2)決められた同じ時間であれば、より利用者様が満足される介護に徹すること。(3)同じ計算式のレセプト請求でも、トヨタ生産方式で徹底的に効率を追求してもらいたい。(4)間違いや失敗ややり直しを失くして、プロとしての正しい介護に徹してもらいたいのです。 私がこれを言うと会社を辞めたいと言う社員さんも居るでしょう。しかしこれが日本の一般的な会社のやるべき努力などだということもご理解願います。私は赤字は『罪悪』と考えますが、私は売上や利益だけを追求する経営者ではありません。私の今の夢は、介護で働く一人一人の職員さんが一日一時間は好きなことをやってもらいたいことです。昼寝してもいいし、本を読んでも勉強してもいいし、入居者さんと談話したり、花壇づくりやお料理づくりでもいい。何でも好きなことをゴールドエイジでやってもらいたいのが私の夢の実現なのです。 そして一人一人が私は『どうする』『どうしたいのか』を会社の中で考えて実行して実現させたいと計画しています。ご協力ください。
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