今書店に行けば、「アパート・マンション経営を勧める本」が数多く並んでおり、多くが、「高利回り」や「老後の安定」「相続税対策」などをうたい文句にしている。例えば、地方都市にある親の土地にマンションを建てたり、アパートを一棟買いするなどして成功した人の話などが紹介されている。しかし長年、不動産の売買に関わってきた私は声を大にして警告したい。「これからアパート・マンション経営はしてはいけない」と。  多くの人は、アパート経営を勧める大手不動産業者の「一括借り上げシステム(サブリース)」という言葉に惹かれて投資を考える。アパートの建築契約を交わせば、業者側が部屋を借り上げるしくみで、「30年間保証」などといううたい文句によって「30年間、投資物件の家賃が保証されるのではないか」と考えるわけである。  しかし、このシステムは部屋を借りることを保証するだけで、家賃額を保証するものではない。一定期間のみ家賃を保証し、その後は市況によって家賃を調整することになる。年数が経って建物や設備が古くなれば、家賃が下がっていくのは普通のことだから、ほとんどの場合損をすることになる。最初の3年は一定の額を保証されることが多いが、この手の投資用物件は建築費用が相場より割高なことがほとんどだ。その差額で業者が家賃保証をするしくみなのである。そもそもサブリースは、家賃相場の8~9割が大家に支払われるシステムなので、最初から家賃を下げて自力で探したほうが得だといえるだろう。  新築当初1年から2年間くらいはそれなりに高い入居率となるかもしれない。しかし、それは、これまで古いアパートに住んでいた人が、新しくて設備のよい部屋に入りたいと移ってきたケースが多い。5年も経てばもはや新築ではなく、新しい物件に対抗するために、さらに家賃を下げなければ入居率が下がるはずである。  もう一つ、固定資産税や土地・建物の評価額は、アパートの入居率が低下しても同額である。一等地でない限り、アパート・マンションは、建ててから5年経過すると利回りも半分程度になると思ってよい。最初に業者がうたうような高い利回りは決して長く続かないのだ。  ここで、多くの不動産業者は「家賃を上げるためにアパートのリフォームをしないか」などと持ちかけてくるのだ。「銀行から資金を借りればいい。ローンがあれば土地の相続税も安くなりますよ」などと誘ってくる。しかし、結局、家賃収入の倍近くの返済をしなくてはならないこともしばしばで本末転倒である。ほどなく破綻し、物件は競売にかけられる可能性も高い。  高度成長期からバブル期までの「土地神話」はとっくに崩れ去っている。大規模地震発生の可能性も強まっており、都市部で再び震災が起これば不動産市況はますます厳しくなるはずだ。今後、地価が上がる見込みがあるとすれば一部の都心の超一等地のみ。郊外や地方ではこれからさらに地価下落は続き、極端に下がらないのは、例えば東京都内に近い埼玉県の大宮地区や川口市、千葉県なら市川市あたりまでだろう。  少子高齢化で、日本の人口は毎年10万人以上減少している。アパートを借りる人そのものが減っている一方で、わが国の総住宅数は、10年前に比べて734万戸増加している。需要が追いつかず、すでに全世帯の約1割が空き家という状態である。  インフレヘッジには土地がよいなどとよくいわれるが、需給バランスを考えると、もはやほとんどの不動産はヘッジにならないだろう。すでにアパート経営を行っている人は、損を出しても今のうちに売ってしまったほうが賢明だと思う。5年後にはほとんどの物件価格はさらに安くなっているだろうから。と言う記事が5月18日のプレジデントに掲載されていた。私が想うには「高齢者住宅」であろうと、通常の「賃貸住宅」であろうと、共通する事はどんな事業でも絶対に「リスク」はあるという事だ!!どこまでのリスクが許容か?考える事。一括借上げに騙されてはいけない。場所によるが、サ高住も一括借上げよりテナント契約の方が、手取り賃料が増える場合もある。そして、一番重要なのは、「事業性判断」である。その為には「事業計画が重要」であり、「マーケティング」をベースにするので、マーケティングも絶対に重要である。リスクのない「事業は存在しない」ことを肝に銘じて、検討すべきである。
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