弁護士の供給過剰に関する社説。
「明確な将来像を描かないまま法曹人口を増やそうとした」とバッサリ。

これを読んで思い出したのが、橘玲さんの「臆病者のための裁判入門」。
たった12万円の保険金のために、2年半も法廷をたらい回しにされた実話。

この本のあとがきが響きます。

「裁判官や弁護士はもちろん、裁判所の書記官を含め、
 日本の放送関係者はみな公正かつ優秀でした。
 その能力がもっと有効に活用されることを願ってやみません。」

将来像・・・
他人事じゃないですね。(^^;


【弁護士過剰 甘い見通しへの反省が必要】

 弁護士が全国的に供給過剰になっている。司法制度改革によって司法試験の合格者が増えたためだ。増加分に見合うだけの新たな活動の場がなく、司法修習後に弁護士として働くことが難しくなっているという。
 司法制度改革の柱に位置付けられた「年間3千人の司法試験合格者」は、撤廃されそうな雲行きになっている。
 確かに、司法試験の合格者を絞り込むのは最も手軽な「需給調整」だろうが、そもそも弁護士の役割についての議論不足が要因になったのではないか。
 市民のための法律の専門家としてどんな職務を担うべきなのか、もう一度原点に戻って検討すべきだ。
 司法試験の年間合格者は、1990年代まで500人前後だったが、国は2002年に「3千人程度に増やす」ことを決めた。その方針に従い徐々に増えて、7年からは2千人を超えている。
 合格者は司法修習を経て裁判官や検察官にもなれるが、採用数自体が少なく、受け皿として弁護士が急増する結果になった。全国の弁護士はこの10年間で1.7倍に増加し、現在約3万2千人に達している。
 東北でも10年間に約380人増えた。02年に所属弁護士218人だった仙台弁護士会は、12年には376人になっている。
 弁護士の急増に伴って、全国的に司法修習生の就職難が深刻化しているという。
 そのため国の法曹養成制度検討会議は4月、「3千人」の撤回を含めた中間提言案をまとめ、弁護士増加に歯止めを掛けようとしている。日弁連も合格者数減少を求めている。
 だが、司法試験の合格者を減らすだけで済む問題ではない。国民のための法的サービスをどう実現させるのかという視点も必要だ。
 司法制度改革が議論された当時、日本はそもそも弁護士を含めた法曹の人口当たりの数が欧米諸国よりかなり少なく、それが国民の権利行使を妨げているという問題意識があった。
 弁護士も事務所を構えるだけでなく、企業や役所などに所属して法務を担うことが期待された。そうした新たな活躍の場が期待通りに増えなかったことが、弁護士過剰の要因にもなっている。
 司法試験の合格者数を抑制するだけで解決を図ろうとするのは、本来の議論からかけ離れている。例えば公的部門に弁護士を積極的に登用し、市民のために働いてもらうといった方法をもっと真剣に議論すべきだ。その後に民間企業などへの波及を図った方が現実的だろう。
 今日の状況をもたらしたのは、明確な将来像を描かないまま法曹人口を増やそうとしたためだ。司法制度改革の際の議論を反省しながら、もう一度新たな役割と活動の場の拡大を検討することが求められる。
 目指すべきは弁護士がもっと身近になり、多くの人の法的な権利が守られる健全な社会をつくり上げることだ。
(5月4日 河北新報)


土地家屋調査士 大阪 和田清人(image)
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